ウィザードリィ

このゲームも衝撃的だったなあ。
まだ外国ゲームがそんなに日本に無かった時代だったと思う。そんな中で海外っぽい作品
だったからもある。(事実海外から来たのだが)
加えて、自分が先にドラクエや他のRPGを、知っていた後だったから、なおさらだった。
まず最初に衝撃だったのは、いわゆる「街」がそのままメニューの一項目にあるだけで 画面に明確に表示されない。それなのにRPGの「街」で必要な項目はほぼそろっている。 これは最初かなりとまどった。正直、「なんだこれ?」と思った。 ただ、この後、ウィザードリィがこの雰囲気で進むことが解ると、違和感なくゲームを 進めることが出来たのだ。
やはりこのゲームは、不明瞭な点をあえて作っているように見える。 どんな点かを挙げてみると、
- マップ
ダンジョン探索なので、明確に視認出来る範囲以外は、当然不明瞭。 奥まで見通せるようになる魔法があるくらいだ。とにかく、自分の頭で記憶するか、 マップを書き出して不明瞭な部分は解き明かすしかない。
- 街
店にしてもメニューの一項目だけだし、街の中を探索するのは、メニュー項目を 探索するのみ。店の概観や街の雰囲気は頭の中での想像に委ねられている。
- 主人公
街と同じで、いわゆる「絵」が無い。どんな主人公なのかどんな風貌なのか、 やはり同じで頭の中での想像に委ねられる。
- 敵
このゲームのもっとも特徴的な一つ。そのまま不明瞭な敵が出てくる。 「人間型のいきもの」とか「ガスのけむり」とか。 本当の名称はある。有るのにも関わらず、伏せている。敵の不明瞭を解く魔法が 存在するくらいだ。
- 罠
マップ上の罠の存在は、当然、不明瞭。これも記憶していくしかない。 さらにもう一つ、これもこのゲームの特徴かもしれない。宝箱の罠が不明瞭。 よって、調べる行動が必要となってくる。
- 宝の中身
不明瞭な宝があるのだ。「?剣」とか。これは多くのゲームシステムにも 採用されていると思う。不明な素材を街に持って帰って・・・だって同じことだし。 ただ、やはりこのゲームでの特徴が有って、「鑑定」をする職業がある。

あれ?この光は何?(カメラに逆光。不気味)

これだけあればなあ。このゲームの作者が、狙って不明瞭な部分を作り込んでいるように 思える。
不明瞭な部分が多いと、想像を掻き立てることが多くなるのでは?
人間って基本的には想像することが好きな生物だと思う。こんな例を考えてみた。
「あの角曲がった先に、奇妙な服着た人がいたぞ。」と、
「あの角曲がった先に、赤と紫と黄色の派手な縞模様の服着た人が居たぞ。」
どちらが想像を掻き立てられるだろうか。さらに言えば、どちらが「お?」と思うだろう。 まず、ほとんどの人が「奇妙な服」と言われた方が、気になるんでは無いだろうか。 (ちゃんと説明しろよ!っていう奴も結局気にしてることになるだろうし。) その曖昧で不明瞭な表現が、人間の想像力に働きかけ、何かしらの心理作用を与えている のだろう(なんて、カッコイイこと言っても定かではない)。
ただ、人間が想像することが好きな生物ってのはほぼ間違いないだろう。 恋愛にしたって、夢にしたって。 他の生物がそんなこと考えるか?「あの猫、私に気が有るのかしら?」なんて。 ・・・わっはっは。実際の猫を見よ。 話それたけど、その曖昧で、不明瞭な雰囲気ってのは、実際、RPGの基本のようだ。 どう転んでも未開の地を旅するのがRPGなんだし。ん?よくよく考えたら、上の項目、 RPGではどう転んでも不明瞭な点だな。攻略本とか無いと、全て不明な点だぞ。 ・・・ただ、「攻略本が有っても」不明瞭にしてるのはこのゲーム大きいな。 だから独特な雰囲気が有って、衝撃的だったんだな。

しかし友好的なガスクラウドってw
それから、個人的に好きな部分について。 まずとにかく、主人公の性格って項目が好きだなあ。「善、悪、中立」だって。 そんでもって、性格が違うとパーティ組めないんだって。よく考えてるよなあ。 現実っぽいw。これも当時は「なんだこりゃ?」の項目ではあったけど。 戦ってるうちに変わるのを知らなかったから、全て悪になって。 知ってても、友好的な敵に思わずミスで戦ってしまって。たった一回のせいで 悪になって。 逆に悪から善になって気づいた時には鎧が壊れてとか。そうそうw。 「ARMOR of Evil」とか「NEUTRAL PLATE」とか。 英語だとカッコいいけど、日本語にすると「あくのよろい」「ちゅうりつのよろい」 だもんなあ。正直なんのこっちゃって感じだ。
しかし訳するのは難しいのは難しいなあ。「のろい」系のアイテムも有るから、 「のろいのよろい」じゃあ、ない。しかし「あくのよろい」だとのろい系みたい。 (事実、呪い系だと思っていた。悪しか持てないので呪いと言えなくもない) でも「イビルアーマー」じゃあ、悪属性用の鎧かどうか解らんしなあ。 「あくまのよろい」?じゃあもっと変だ。「あくぞくせいようのよろい」もへんだなあ。 こんなのはどうだ。「あくにそだてられしよろい」 ふふ、いいではないか。「ちゅうりつにじゅんじたせんしのよろい」とか。 ・・・「あくのよろい」のがいいか。
こんな感じでまあ、いろいろ想像を掻き立ててくれる項目が多いのだ。
種族の件もそうだし。
能力値の件もそうだし。
職業もそうだし。
アイテムもそうだし。
本当に、こういった項目の面では良く練られているよなあ。
職業がクラスチェンジってのも、魅力あるし。年齢って設定まであるし。
魔法は使える回数が設定されてるってのも、現実っぽくしてるし。
死んだキャラクターが蘇らない場合があるって設定も、しぶいなあ。とか思うし。
ただ、すごく育てたキャラを一回消滅させてしまったことが有った。 すごく悲しかった思い出でもある。しかし、ゲームをクリア出来なかった訳でも無いので、 結果的には、いい思い出となった。自分の中で勝手に息子とか設定してクリアしたり。 (ゲーム中ではそんな設定はどこにもない。) あえて苦難を作ることで、感情移入を高めるという・・・ でもこれも強いて言うなら現実っぽく設定してる。 考えてみたらファンタジー系で魔法はこのパターンも有りうるなあ。 万能の魔法は無いよ。って感じだ。 確かにRPGの基本はこんなゲームなのかもしれない。

色々な情報がとてもまとまっていると思う。
出来る限り現実っぽく設定を考えて、その上で、出来る限りユーザーの想像力を 働かせるようにする。という方針なのかもしれない。 最近の風潮に真っ向逆らっているようだけど、そういうことだと「絵」はあまり意味が 無くなるようになるのだろう。
やっぱり基本は、こういった設定の面での細かさを大事にする方がいいのだ。 後は、やり込める要素が有るのがやっぱり一番の魅力だ。さっきのアイテムだけど、敵が アイテムを落とすのに確率が設定されている。これが現在では有名な「レアアイテム」の 概念なんだろう。燃えるんだよなあー。レアアイテムって。これも有る意味RPGの基本 なんだろうと思う。 初期の名作はこんな感じで、基本に忠実に出来ているのではないだろうか。 自分としてはこの雰囲気が好きかな。しかしこれも基本なのだろう。