仮面ライダー

第一話初登場時
自分の世代で有名なものからということで、最初に「仮面ライダー」について、考えて みた。
最初に、仮面ライダーのような特撮における、等身大ヒーローの歴史について、色々調べてみた。 そして気づいたのは、どうも自分の世代より前から、この種類のヒーロー物は、割とあったようなのだ。 (ハリマオとか、七色仮面とか。ナショナルキッドとか・・・) それに、月光仮面という特撮作品に至っては、覆面をしてバイクに乗っていた・・・仮面ライダーと同じだったのだ。 だから特撮における等身大ヒーローとしては、仮面ライダー放映当初、実はあまり目新しいものでは無かったのではないだろうか。 実際、巨大ヒーローを特撮で撮るよりも、等身大ヒーローの方が、コストが安くすみそうなことを考えると、 TVの黎明期から有ったのも、不思議でないような気がする。
・・・でも結果的に、等身大ヒーローとして、シリーズ化するまでの大成功に至ったのは、 「仮面ライダー」が最初だったのだ。 歴史的な評価で、仮面ライダーはネームバリューが有ると思う。 言いすぎかもしれないけど、やはり勝者の作品と言える。 そこで、「仮面ライダー」が、良かった点は何だったのか?というのを巨大ヒーローや、 過去の等身大ヒーローと比較して考えてみる。
- 変身ポーズ
オリジナルなポイントで良かった点は、当然「変身ポーズ」でしょう。これは結局、 最初に思いついたものの勝ち!って気もするなあ。 しかし、むしろ仮面ライダーの良い点は、その変身の理由、過程とかもしっかり設定されていたことではないかと思ってる。 バイクで風を受けてエネルギーにしている設定(風力発電なんて概念自体、当時そんなに有名でも無かったのに)。 それをベルトで蓄えている設定。敵と戦う時、ベルトからエネルギーを解放して変身する設定。他。 変身する理由が明確に設定されているので、不思議な存在感が有り、謎めいた雰囲気が出ていると思う。 そして、制作者自体も不思議なインパクトのある、「変身」を強調したい意思はあったと思う。 変身シーンは今見ても、力が入っていると思うし。 (ベルトのロックが開くとか。一号と二号で変身ポーズ違うとか。効果音とか。)変身ポーズ
ライダアアアア、変身!とぉ!
- アクション
変身以上に、これも特筆に値すると思う。 この年になって改めて見たのだが、当時のスタッフに頭が下がる思いだ。 初めはどうやって見せるか解らず、「なんだこりゃ?」ってのも結構ある。 (寸止めが見えていたり、倒れ方が変だったり) しかし、どんどんうまくなっていったのは、事実だと思う。 それに、とにかく体を張っている。生傷も絶えなかったと思う。 良い子は絶対にまねしないでね=彼らはそれが出来て、体を張っている。 この作品を子供時代見た思い出で、覚えているのは怪人とのアクションシーンばかりという人も、 多分多いと思う。 特に何も意識して見ていない子供だからこそ、アクションに純粋に心が動いて、 覚えているのかもしれない(ただし、本当に危険でもあった)。空中ジャンプシーン
結構高くジャンプしている・・・
- 怪人
これも要因の一つだと思う。アクションと同じく、進歩の後が見られるし、本当に毎話、毎話、 よくこんな個性的な造形を作ったものだと思う。当時出ていた 仮面ライダーカードとか言っても、実際は「怪人カード」がほとんどなのだ。 それでも集めたくなるのは、怪人に魅力があったからだろう。 ただ、この要因は、現在のものもそうだし、怪獣だってそうなので、 「仮面ライダー」特有の良かった点・・・では無いかもしれない。 しかし、個人的には、「仮面ライダー」独特の造形を、やはり感じられるのだ。怪人(シオマネキング)
こんな感じで路地裏からひょっと出てくる。特徴的なシーンと思われる。
- スタッフの真摯な姿勢
この作品は放映当初確かに、苦しい状況だったと思う。
怪獣物も改めて出始めた時であり、 先も言ったけど、
等身大ヒーロー自体も、以前からあったのだ。
そんな中、「仮面ライダー」は「独自の作品」として作ろうという意識が明確に感じられるのだ。 というのも、第一話くらいの頃は、以前までの等身大ヒーローや、円谷系の作品で行っているような撮影方法だったが、 後期の頃になると、明らかに「仮面ライダー」独特のシーンが増えている。トランポリンでのジャンプアクションシーン。 密室での怪人登場シーン。地方ロケとのタイアップシーン等。 さらに、その上で、気になる点も修正されていった。マスクや、バイクの修正はもちろん、 作風を明るくする為にヒロインを何人も付けたり、サポートの人間を入れて物語性を強調したり。 他にも、怪獣物に対抗意識でしたのであろうが、V3の頃になると、派手な爆破シーン等もあり、迫力が出てきた。 これは当時のスタッフが、真剣に視聴率を取る為に、真摯な姿勢で取り組んだ結果だろうと思う。「仮面ライダー」
タイトルの変遷(一部)除々に引いているように見える。背景が出て走っている感が出てきた。でも、どっちがいいかは好みも有るかな。


4.の視聴率の点だけど、自分の世代で子供が多かったことは、ほぼ間違いないはず。 「子供の絶対数が多い→関連商品等で売り上げが期待できる→人気が出ると定着する。」 この流れは、現在よりも明確だと思う。しかし当然、競争も激しかったようだ。 確かに怪獣物もこの頃に、再燃・・・って言っていたし、さまざまなアニメもやり始めた時期だった。 この競争レベルが高かったことは、当時負けた側の作品でも、今見ると面白いことからもうかがえる。 (ガンダムが途中打ち切りだったとか、ハイジとヤマトが同じ時間帯だったとか。 今では考えられないような逸話がいっぱい。) 競争が激しくて、その中で勝つことは、メディア関連の場合、支持者が増えることになるだろう。 「シリーズ」にまでなった要因は、この、ハイレベルな競争が有ったことも、一因かと感じる。
そして、この作品が実際に勝った作品になったのは、やっぱり4.の要因がもっとも大きかったように思う。
結局、
仮面ライダーが、他の子供番組よりも良かったのは、
「当時の撮影スタッフが抜きんでて、真摯な姿勢で取り組んでいたこと」ではないかと思う
(注:個人的見解)。
藤岡弘が大怪我したのが、結果として1号、2号・・・とか言っているけど、普通大怪我するまでして、 真剣に取り組むだろうか。また、そこから復帰するようなことはあるだろうか。 基本的に、スタッフ一同が、真面目にやっていた姿勢と情熱が、良い方へ向いた結果だと思いたい。
他にも、予算内で、何とかいいものを作ろうという姿勢の表れは、様々な改良点で出てる。 マスク。バイク。服装。1号、2号の個性つけ。様々な設定(今考えると変な設定も多いがw)。 演技方法の模索。効果的な爆破シーン。 この時期の等身大ヒーローの基本的な部分は、ほとんどこの作品で作られたように見える。 そして、この後しばらくの間、東映作品では、かなり「仮面ライダー」で培った技術は使われていったようだ。

このメンバーに滝和也でほぼ全部。しかしこの人達が、よくトラブルに巻き込まれるんだな。
次のポイントとして、「仮面ライダー」独自の発想についてだけど、最初に「変身」。 しかし、よく考えればウルトラマンだって変身しているのだ。だから、巨大ヒーロー等 ではあまり意識していなかったポイントに、焦点を当てたという考え方のが正しそう。 結果的に、このポイントを深く取り上げて、「等身大ヒーロー」としての特徴を強く 打ち出したことが、「ブーム」までを呼ぶことになった要因と思う。 次に、改造人間の設定。悪の組織から改造手術を受けて、その組織と戦う。これも有りそうで、 無かった?逃亡者の設定も、無いのかな? 少年仮面ライダー隊や、ライダーガールズ。立花藤兵衛や、滝和也の設定。 このような脇役の設定もこの作品以前は無かったかもしれない。 撮影方法も、結果として個性的になったので、これ自体はまさに独自の発想になった。 ・・・そして、こうして生まれたのが仮面ライダーなのだ。
私は、「コレクター」が、骨董品や、絵画が好きとか、ブリキのオモチャが好きとかと、同じような感覚で、この昭和時代の作品群を良く見る。(子供番組だけど)撮影や、アクションの試行錯誤、色々な撮り方を模索したり、似た番組と区別化を図るなど、はっきり言って、そういった苦労の後、のようなシーンが特に好き。
しかし、個人的には、こうも思う。でも、時代とともに、「仮面ライダー」ではない、 独自のヒーロー像も模索すべきだと。 なぜなら、この作品だって、当時のハイレベルな競争の結果だったと考えるべきだ。 今日に至っては、その競争が無い分、過去のものとも競争すべきだろう。 その時、「仮面ライダー」を語るのは卑怯だし、その行為自体が競争から逃げていると言えるのではないだろうか。
「超科学 スパイナーセブン」
(たった今考えた。スパイとスナイパーを掛けた。)
とかw。なんのこっちゃw。と思うかもしれないが、ずっと仮面ライダーしか作れないと、
馬鹿にすることも出来ないでしょう。
次は、その個性的と思われる撮影方法や、個人的に好きなシーンとか、掘り下げてみようと思う。